File 91:フジゲン NJB-10R BK (黒ベエ)
前項の失敗以来、ベースはずっとメインのプレベの白雪さんだけ。
でもやっぱり時々そそられるんです、ジャズベの音に。
そんな折、買い物ついでによく立ち寄る地元のハード○フでこの子を発見。
まっ黒のボディに目立つピッキング跡がいかにもイカツイ感じを醸し出しています。
でも相場なりのオネダンにそれほど食指が動くわけもなく、ただ眺めるだけ。
しかし、その後、いつ行ってもこの子は店頭に佇んだままでした。
それが一年も続いたでしょうか。ある時、値札に「値下げしました!」の文字が。
見ると確かに一諭吉さんもダウンしてる。少し揺れたものの結局はそのままに。
そしてさらに3ヶ月。なんとさらに一新渡戸さんもダウン。しめて諭吉さん3人ちょっと。
さすがに気持ちを動かされて試奏してみたら、これが実によく鳴る良い子だったのです。
かなり弾き込まれてきたようで、カラダの傷はダテじゃなかったのですね。
ギターアンプでの試奏でもスピーカーがビリビリするくらいの鳴りをしています。
ネックの状態もきちんとチェックして問題なし。さすがに観念して(?)お持ち帰りとしました。
気になった傷はラビングコンパウンドと研磨剤でほとんど目立たなくなり、さらにお掃除。
弦を交換してネック調整とオクターブ調整を終えて改めて弾いてみると実に気持ちいい。
ハイフレットの和音もぶれることなくきれいに鳴ってくれます。
電装系はジャックをスイッチクラフトにコンデンサをオレンジドロップにしただけですが
それだけでも少し音がスッキリとしたのはそれだけ音が素直だということなんでしょう。
ピックアップがちょっと弱そうなので、ガツンとした音を目指してフェンダーの60’sJazzの
セットに換えたら、これが素晴らしい。輪郭のはっきりした「まさにジャズベ」の音がします。
さて、名前ですが、これは家に連れて帰る途中で決めておりました。
黒いベースだから、その名も「黒ベエ」。 まんまじゃねえかって?
でも、好きなんですよ、ウラウラァ!。(って、わかるヒトにしかわからないや。)
File 92:フジゲン NCTL-10M (ゲンさん)
テレはFile72のシンラインのシンジくんがいるけれどソリッドのギターもやっぱり魅力。
「お手頃な出物の中古があれば」程度の気持ちでネットを眺めていたら池袋のク○サワにいるこの子を発見。
メイプル、アッシュの52年モデルで、シリアルからシンジくんの一つ年下の2008年製と判明。
フジゲン信者を名乗るワタシではありますが、正直なところ、最近のものにはまったく食指が動かない。
世界市場に進出した2010年前後のものが最も良いと思っていて、この子はまさにそれであります。
造りは間違いないと思うのですが、それでも今までどういう使われ方をしてきたかで変わるもので
やっぱり現物を見てみないとわかりません。ということで一旦、忘れることにしました。
ところが、3日後に池袋に行く用事が発生。ふと、この子のことを思い出し、店に寄ってみたら・・・
いました、案の定。(^^ゞ
早速、弾かせてもらったのですが、やっぱり造りが違います。ネックのグリップも左右非対称の独特なものだし、
何より使っている材を十分に寝かせてあるため、10年以上経っても歪みがほとんどなく、素直に鳴ります。
ワタシのシンジくんもそうなのですが、まさに世界に進出しようとしていた時期のスタッフの意気が感じられます。
前のオーナーはそれを十分に理解されていたようで、塗装ヤセやピック傷はあるものの実にきれいに弾き込んである。
そのイイカンジの風格はすぐそばに飾られていたヴィンテージのテレとそっくりでしたが、そちらはなんと320万円。
かたやこちらは諭吉さん5人に消費税。・・・てなことで「お持ち帰り」と相成りました。
家に帰って全体をチェックするとジャックがかなり緩めになっていました。それだけ頻繁に使われたということなのでしょう。
だいぶ疲れの出ていたジャックとポッドを取り替えて、次はピックアップの交換です。
しっとりとした音のお気に入りのリンディはすでにシンジくんに載っているので、ここは反対にカラッとした音がほしい。
しかしある程度の深みも欲しかったので、フェンダーカスタムショップの’51ノーキャスターを試してみることにしました。
その方向性を更に活かすためにハイパスコンデンサは0.0015uF、トーンは0.033uFにしてみたら大正解でした。
さて、恒例の命名です。 いろいろと考えましたが「ゲンさん」としました。「フジゲン」の「ゲン」です。
フジゲン製の中でも一二を争う黄金期の1本。ですので「これがフジゲンだっ!」の意味の命名なのでありました。
ところが手に入れてから数年経ったある日。この子をバンドの練習に連れて行ったことがないことに気が付きました。
あまりにもソリッドな音ゆえ、ワタシのバンドの中で使うのが難しかったんです。これではまさに宝の持ち腐れ。
フジゲン愛好者のワタシですので、このギターの素晴らしさを他の誰かにも味わってもらおうと苦渋のドナドナに。
店での査定が終わって結果を聞いて、思っていたよりも遥かに高い金額だったのは嬉しかったですねえ。
File 93.フジゲン NCTL-10R/AL/LPB (碧ちゃん)
前項のゲンさんが家に来て3ヶ月。
これでしばらくは大丈夫(なにが?)と油断していたのが悪かった。(だから、なにが?)
海外出張の前日、荷造りを終えてふと窓の外を見るとピーカンの自転車日和。
ひとっ走りしていっちょスッキリとしてくるか!とゴルフ場のある山を越え、
帰りに立ち寄ったのが以前、File85のラビちゃんと出会った隣町のハード○フ。
店内をうろついていたら、レイクプラシッドブルーのテレキャスターが目に入りました。
この色は好きなのですけれども、今まで使ったことがあるのはストラトが一本のみ。
いいねえ、と思い、手にとってヘッドを見たら、そこには燦然と輝く「FGN」の旧ロゴ。
シリアルはゲンさんと同じ2008年生まれ示しています。しかしレギュラーラインには
この色はなかったはずなので、もしかするとボディは別のメーカーのものなのかな?
そんなことを思いつつ、アンプに繋がない状態でじゃらんと鳴らしてみると、
09ゲージの弦でもしっかりとボディが鳴るではありませんか。わあ、いいなあ。
しかし値札をみると諭吉さん4人半。わあ、わあ、いいなあ。
さて、いつもならここから次の検討段階に入るのですが、この時はそのまま見送りました。
なぜなら翌日から出張なので、ここで良い運を使うわけにはいかないと思ったからでした。
ところが出張先でハードな一日を終えて眠りにつこうとすると、蘇るはその麗しき姿。
しかし異国の地からはどうすることもできず、悶々とした日々を送ったのでありました。
そして帰国後。
「もういないだろうな。そうすればあきらめがつく」という気持ちで店に行ってみると・・・
いたのです。待っていたのです。健気にも、この子は。(いや、そうじゃないってば)
今度はアンプに通してみたのですが、やっぱり鳴りが良い。きちんと調整すれば
以前使っていたFile77の2014年製のサンちゃんよりも鳴りそうです。
しかしケースがついていなかったのでネックだけプチプチでグルグル巻きにしてもらって、
えいやっ!とバッグに詰め込み、背中に載せて家路についたのでした。
陽の光にキラキラ輝く白い棒を背中のバッグから突き出しながら、自転車でひた走る
初老の大男はさぞかし不思議なものに見えたでしょうねえ。
家に帰っておそるおそるパネルを開けてみると、すべてのキャビティに導電塗料もしっかり塗られ、
さらにそれぞれにきちんとアース線もつないであるという、紛れもないフジゲンの仕事で一安心。
ということで、ひとまずはポッドやジャックとコンデンサを「いつものヤツ」に入れ替え。
ピックアップは純正をしばらく使っていたのですが、もう少し個性が欲しくて載せ替えることに。
メインのシンラインのシンジくんはリンディのブロードキャスター、アッシュ、メイプルのゲンさんは
フェンダーの51年モデルなので、アルダー、ローズのこの子にはフェンダーの64年モデルを。
中低音が膨らんで腰も粘りも出て、さらにセンタートーンが色っぽく、いっそう使いやすくなりました。
フレットがところどころ減っていたので、前のオーナーがそれなりに弾き込んでいたようですが
10ゲージの弦に換えたことでさらに鳴りが大きく素直になってきていて、さすがに夢枕に出てきた子であります。
最後に名前ですが、それはもうこの「レイクプラシッドブルー」というラメ混じりの鮮やかな青のボディとくれば
間違いなく「碧(アオイ)ちゃん」でしょうねえ、やっぱり・・・・。
(って、最近、つける名前にひねりがないのはトシのせいでしょうか・・・・?)
File94:Epiphone EL-00 Pro (エルちゃん)
エレクトリックは数種類が必要だけれど、アコースティックはとりあえず一本あればそれで事足りるため、
我が家ではFile12のk・ヤイリのケイちゃんが30年以上もメインの座を守り続けております。
なにせ30年選手、年を追うごとに枯れて音もルックスもイイカンジになってます。
しかしドレッドノートタイプなので、その「戦艦」という名前が示すように図体も音もでかい。
膝の上に乗せて一杯やりながら気ままにポロポロ爪弾くなんてことはできないのが難点なのです。
そんなある日、エピフォンがギブソンのLタイプのモデルを出していることを知りました。
新品でも手頃なお値段なのも魅力で、ここはひとつ、試奏をしてみたいと歩き回ったのですが
どの楽器屋にも置いていない。これはそれだけ人気があるということなのだろうか?
いろいろ悩んだ結果、価格とネットの評判を天秤にかけて、思い切って「ポチ」してしまったのでした。
土曜日の昼下がり。届いた大きなダンボールをワクワクしながら開けるとちょっと小ぶりの渋いこの子が
ちんまりと収まっていました。ペグはグローバー、ピックアップはフィッシュマンと信頼できますが、
肝心の作りが気になります。恐る恐るチューニング(新品のアコギはなぜか緊張する)して、
さっそく鳴らしてみると「・・・・・・・・・・あら!!」。
安いギターなので期待していなかった分もありますが、なかなかいい子じゃありませんか!
こもることもないきちっとした音で、ネックもフレットも精度に問題はない。
生で弾いてもアンプに通して弾いても実に自然な音が出ます。ううむ、こりゃいいです。
しかし、ワタシはエレキ弾きなのでテンションがもう少し弱いほうがいいし、音にもキレがほしい。
そこで、ブリッジとナットを様子を見ながらヤスリでショリショリ。
弾いては削り、削っては弾いてを小一時間ほど繰り返してワタシ好みのセッティングに調整。
ケイちゃんの妹分となる、アコースティックギターのチーママ誕生でありました。
恒例のお名前ですが、この子はLタイプなので「エルちゃん」としました。
(最近はホントにひねりがないというか、なんというか・・・。)
手に入れてから時間があれば弾いてはいたのですが、近所の手前もあり夜には弾けず
かといって昼間は弾く時間もなく・・ということでなかなか手にすることができない。
かわいそうになってお嫁に出してあげました。
しばらく経ってそのお店に行くと、同じモデルの子と並んで飾られていました。しかし、エルちゃんのほうが値段が高い。
不思議に思って、店のお兄ちゃんに訊いてみたら「弾き心地も鳴りもまったく別モノだからです」だって・・・。
ところでこの子は他のギターのように目立つところではなく、違う場所に保管していました。
その場所はケイちゃん用のショルダーケースの中。まるで隠れるようにして眠っていたのです。
多くの方に共感していただけるとは思うのですが、かみさんという生き物はギターが増えたことに
どうしてすぐに気がつくのでしょう。 減ったことには気が付かないくせに、ね・・・・。
File95:フジゲン NTL11MMHT-WN (シンさん)
コロナ元年の2020年。暗闇の中を手探りで進んだ一年がなんとか終わり、一息ついた日のことでした。
ぼんやりとイ○バシの中古サイトを見ていたら、突然この子が目に飛び込んできました。
フジゲンのシンラインテレはオーダーで作ってもらったメインのシンジくんがいますが、そちらは2シングル。
しかし、この子のフロントはハム。File80のクロちゃんで、フロントがハムでリアがシングルのコンビの良さを知っていたし、
さらにローズ指板でアッシュボディのシンジくんに対してこの子はメイプル指板でマホガニーボディなのでニュアンスが違う。
ぐらりと揺れたその視線の先の格安のおネダンに、いつのまにか指先の反射神経がポチしてました・・・・。
そして数日後、届いた大きな箱を御開帳してみると、中には深いウォルナットのこの子が佇んでおりました。
表示はウォルナットなのですが、ほぼ黒に見える赤茶色のいわゆるオックスブラッド。いやはや実に渋い。
とりあえず細部をチェックしてみましたが、特に問題はなし。ピックガードに傷が多いなと思ったのですが
なんと保護ビニールが貼られたままでした。その他もこれといった傷はなく、全くの新品といってもいい。
一足早いお年玉をもらった気分でルンルンで新年を迎えたのでありました。(表現が古いね、どうも。)
さて、そのままで数日弾いた後に恒例の儀式に入りました。まずはジャックをスイッチクラフトに交換。
続いてボリュームポッドですがここで迷った。シングルならば250kΩ、ハムなら500kΩというのが定番ですが
もともとは250がついていた。しかしストックのパーツを漁ったらボーンズの500が2つ出てきたのでこれに交換しました。
これでだいぶスッキリした音になり、そのまま一年ほど弾いてみたところ、やっぱりピックアップも換えることに。
リアはあんまり使わないのでフロントだけ57クラシックに換えたのですが、どうにもバランスが悪い。
そこであれこれ調べているうちにダンカンのFive-Twoというピックアップを見つけました。高音弦側に枯れた音の出るアルニコ2を
低音弦側にパワーのあるアルニコ5を使ったいわゆるハイブリッドのピックアップで、載せてみたらと実に良い。
フロント、ミックス、リアのどのポジションでも使える実に頼もしい子になりました。
名前をつけるにあたっては悩みました。File.19のシンタロウ、File69のシンイチ、File72でシンジとくれば次はシンゾウ。
でもその名前だけは絶対に嫌だ! 悩んでいたら仲間が「シンさん」を提案してくれ、めでたく命名となりました。
File 96:Cool-Z ZSG-1 (リタちゃん)
フジゲン製Cool-ZブランドのSGモデルです。以前にも同じ型番がありますがこれは違う子です。
File86のスージーちゃんをうっかりお嫁に出してしまって以来、思い出すたびに後悔の日々が続いておりました。
しかしある日、御用達の近所のハード○フ系列のお店の片隅にこの子が佇んでいるのを発見しました。
シリアルからしてスージーちゃんとほぼ同じ時期に作られたもの。ですので作りは間違いない。
オネダンも元カノ(笑)と同じ諭吉さん三人分でしたし、これは「お導き」かもしれないとは思ったものの、
なぜかあともう一歩が踏み出せずにそのまま数ヶ月が過ぎました。
ところがある日、この子につけられた値札が諭吉さん二人分になっているのを目撃。
「売れ残ってる・・・。」
あまりにも不憫になり、意を決して手に取らせてもらった途端、スージーちゃんとのあの蜜月の日々が蘇り、
そのままお会計へと相成ったのでした。
まずはジャックとコンデンサを取り替えるだけにして何日間か弾いて様子を見ていたのですが、
やっぱりオリジナルでついていたピックアップが圧倒的に弱いので、交換することにしました。
今回もやっぱりギブソンかな?とも思いましたが、今回はロック寄りの子を目指してダンカンを載せてみようと。
沢山の種類にあれやこれやと悩んだ挙げ句、フロントにAPH-1をリアにSH-1を選んでみました。
アルニコUとアルニコXの組み合わせは邪道かもしれませんが、出力は抑えめでもサスティンがあるフロントと
直球ど真ん中のリアはコンビは悪くはなく、さらに高さやポールピースを試行錯誤しながら念入りに調整してみると
どのポジションでもいいバランスで鳴ってくれる子に仕上がりました。
さて、最後に恒例の命名式です。お姉ちゃんの「スージーちゃん」があまりにもいい名前だったので
なかなか良いものが思い浮かばない。あ! そうだ!! ワタシのところに再びSGが帰ってきたんだ。
つまり「リターン」ですな。・・・ということで、お名前は「リタちゃん」にいたしました。
そして、ある日のこと。 ネットで音屋をひやかしていたらダンカンのSPH90-1というピックアップが目に止まりました。
「リタちゃんにこれを載せたら・・」と思った時にはすでにポチしてました。(笑)
そして載せてみて、改めて思いました。
なんでもっと早くこうしなかったんだろう・・・・って。
File97:フジゲン NCST-10RAL SSH 〈キャンディちゃん)
自宅の最寄駅から二駅向こうにあるハードオフは湘南方面まで自転車で行った帰りの道の途中にあり、
トイレ休憩によく立ち寄ります。そこにずいぶんと長い間、陳列されていたのがこの子でした。
ご贔屓のフジゲンのストラトモデル。でもフジゲンのストラトはFile81のキュウちゃんが不動の位置にいます。
それでも店に行くたび眺めていたのはこの子のリアがハムバッカーだったからなのでした。
そんな日々が二年くらい続いた頃でしょうか。ふと、弾いてみたくなって、お店のお兄ちゃんに声をかけました。
しかし、いざ手に取らせてもらうと思った以上に状態がよろしくない。ホコリだらけなのは仕方ないとしてネックがかなりの順反りです。
お兄ちゃんに許可を取ってトラスロッドをいじらせてもらうとまあまあ余裕がありましたが、この時点であきらめようと決めました。
でも、どう断ろう。さんざんイジっちゃったあとだしなあ。思いついたのが値段交渉で決裂するという作戦でした。
実は少し前に5諭吉さんから4諭吉さんに値下げされたばかりということを知っていて、現時点での限界かと思われるからでした。
「この子、値段はこれが限界?」と投げてみると、あにはからんやお兄ちゃんは「少々お待ちください。」と奥に引っ込んでしまいました。
しばらくしてからお兄ちゃんが戻ってきて、一言。
「では、ここから5,000円おまけさせていただきます。」
さて、我が家に着いて(笑)念入りにチェックをしてみると、おおまかに調整してみただけで生でもなかなかの鳴りをしています。
細かいパーツを好みのものに取り替えたあと、ネックの調整のため弦を外してロッドを緩めて2週間ほど吊るしての放置プレイを。
頃合いを見計らって弦を張り直し、最終的なロッド調整をしてみると、めでたくベストな状態になりました。
さて、最後に命名です。この子は色鮮やかなりんご飴の色。そう、キャンディ・アップル・レッドです。
ええ、お察しの通り、今回も安易に・・・・・「キャンディちゃん」。 (わるいかっ!)
なるべくデフォルトのままでと思ってしばらく弾いていたのですが、全体に漂う「もっさり感」に耐えきれずPUの交換を決意し、
フロントとミドルはダンカンのSSL-1、リアには同じダンカンのSH-2を選択。このSH-2は控えめな出力でハムなのに軽めですが、
コイルタップしても音痩せがないのがいいのです。その後はバンドの練習に連れて行ったり、割りと頻繁に一緒に遊んでいたのですが、
ある日、これが「我がギターの旅の最後の一本」になるかもしれない子に出会ってしまったため、お嫁に出すことにしました。
全てのパーツを嫁入り前のもの戻して再調整をして、最後に弾いてみると実に味にある良い音で歌ってくれました。
我が家にいたのは半年ちょっとでしたが良い子に育ったキャンディちゃん。きっと次のオーナーさんにもかわいがってもらえることと思います。
File98:トーカイ ES175 SB (イナ丸くん)
「175」という品番ですがフルアコではありません。「335」タイプのトーカイさんちのセミアコです。
100本近い子達との逢瀬を過ごせばさすがに当たり前かもしれませんが、ここ最近はギターを目にしても滅多に心を動かされることがなくなり、
この50年以上に渡る長かった旅もそろそろ打ち止めなのかな?と思っていた矢先のことです。
ボンヤリとネットをハイカイしていたら御茶ノ水の中古楽器屋さんのサイトでこの子を見つけてしまいました。
「335」タイプの子とは本家の子も含めて幾度かお付き合いしましたが、どの子も手元を離れていってしまいました。
思えば大のお気に入りであったにも関わらず酔った勢いで従姉妹にあげてしまった一番最初のFile13のグレコくんとの相性が
一番だったからかもしれません。実は今でも悔やんでいたのですが、たまたま数ヶ月前に合った時にそれとなく聞いてみたら
どうやらもう手元にはないらしいことが判明し、さらに落ち込んでいたのでありました。
そんなところに現れた、本家さえも脅威に感じた泣く子も黙るトーカイさんちのこの子。
2008年というと今と違って良質な材料が手に入りやすかった時代の生まれなので悪いわけがない。
さらにさらにほとんど未使用とのこと。しかも重さが3.4kgとなればこれは会いに行かざるを得ません。
たまたまその翌日に神田まで行く用事があったので無理矢理に足を伸ばしてご対面と相成ります。
謳い文句通り、パーツには曇りもなくテイルピースのアンカーボルトにドライバー傷があるくらいで新品同様です。
心はもうすでにお持ち帰りに傾きながらもとりあえず試奏させてもらったところ、ここでちょっとためらいが・・・。
個体の重さのせいか少しばかり音が軽いのです。オールマイティに使える音ではあるのですが、もう少し重心が低めの音が欲しい。
トーカイさん純正のピックアップもせいも多分にあるとは思うのですが、ここに来て音の軽さと個体の軽さの板挟みに。
さあ、どうしよう。とりあえず頭を冷やそうと、この日は一旦お店をあとにしたのでありました。
しかし数日たった頃にFile89のゴンちゃんに載せていたお気に入りの「57クラシック」が手元にあることを思い出しました。
あの子にこのピックアップを載せればいい感じのバランスになるはず。
さっそく再び店に行き、めでたく召喚させていただいたのでありました。
ひと月ほど弾いて、全体の音が落ち着いてきた頃、横浜の中華街にあるカミナリギターさんでピックアップのお召し替えと相成りました。
仕上がったこの子をさっそく練習スタジオでチェックをしてみると、まだ軽めではあるけれど音はグンと膨らみを増しまており、
もっと弾き込んでやればさらに音は仕上がってくる手応えを感じたのであります。
そして気持ちよく弾きながらふと気がついたのです。そういえばたしかあのグレコくんもそんな育ち方をしていたなあと。
型番をもじって名前を「イナ丸くん」としましたが、その風貌から「いなたい歌を聴かせてくれること」を願っての命名でもあります。
File99:CoolZ ZLS2/FM VV (トラ丸くん)
ある日、ふと思いました。 「レスポールの音を出せる子がいない・・・。」
File89のゴンちゃんはその重さ故に手放してしまったのですが、やっぱりある程度の重さがないと「あの音」は出ない。
探す条件は「フジゲンかトーカイかバッカス」で「4.00kg前後」で「おネダンは5万円くらい」。
自らを諦めさせる方向でハードルをかなり高めに設定して数週間ほど経った年末のことでした。
一年の仕事を終えて家飲みしながら中古サイトを開いた途端、検索画面の一番最初にこの子が現れました。
Cool-Zですので作りはまぎれもなくフジゲン。おネダンも条件にピッタリ。しかし残念ながら重量の記載がない。
気になるものの、大した期待もせずにとりあえずダメ元でお店に問合わせのメールを打ってみました。
するとものの30分も経たないうちに返信があり、なんと重量は4.0kgとのこと。
ううむ、これほどまでピッタリの子が出てくるとは・・・・・・・・、観念して「ポチッ」。
そして翌々日の午後。届いた段ボールの中から鮮やかなトラ杢の見目麗しいこの子が現れたのでした。
しかしながらネットでの嫁入りでは以前に一度ヤラかしてしまった(File88参照)ので油断は禁物。
とりあえずアンプに繋がずにジャランと弾いてみるとびっくり!ものすごく良く鳴る。アンプに繋ぐとサスティンもすごい。
神戸からの長旅の後にも出荷時にされたチューニングが全く狂っていないというその堅牢さにもびっくり。
ブリッジやテイルピースのビッツや錆びて抜け落ちたビスは前オーナーのご寵愛ゆえなのでしょう。
ビスの補完を施し、ジャックやコンデンサも好みに換えたうえ、全体をクリーニング。
さらにピックアップをお気に入りのギブソン57クラシックに載せ替えて作業終了。これで無敵です。
名前はFile78のレスポールモデルが「茶々丸くん」だったので、この子にはその麗しさから「トラ丸くん」と命名しました。
そして改めて思いました。
ワタシの一番最初のエレキギターはfile3のグレコのレスポールモデルであるEG-420。
それから数十年経って手に入れたレスポールモデルはfile65のエピフォン製LPS-85F。
どちらもフジゲン製に間違いはない。そして今回、この子がやってきた。
やれやれ、巡り巡って結局のところまたここに戻ってきてしまったというわけですな。
*
File0:メーカー不明 ウクレレ
いよいよ最後のファイルです。ここに何を持ってくるか、ずうっと悩んでいたのですが・・・・・。
このウクレレは私が初めて手にした弦楽器です。中学1年の時、新宿に家族で飯を食いにいった帰り、
紀伊国屋ビルにあった楽器屋でほろ酔い気分の父が私たち兄弟のために買ってくれたものです。
おそらく3,000円くらいじゃなかったかと記憶しています。もしかすると姉貴あたりがせがんだのかもしれません。
しかし、ひと月もしないうちに誰も弾かなくなり、ピアノの上で埃をかぶってしまいました。
後日、私がギターを始めてしばらくたってから、「実験」と称して使い古したスティール弦を張ったために
トップがはがれ、さらにはブリッジサドルもはずれてしまいました。悲しい仕打ちをうけたヤツですが、
こいつがいなければもしかすると今の私はなかったかもしれません。
大袈裟ではなく人生を変えてくれたお礼とお詫びの意味も込めてトリをつとめてもらいました。
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