File81.フジゲン NCST-20R/AL/3S/VSB (キュウちゃん)
 
File79のバーバラさんに別れを告げてから数ヶ月後、「やっぱりストラトも持っていたい」と気がつきました。
 別れてから気がつくなんて、まるでまさに「My Lost Lovers」。しかしバーバラさんはすでに見知らぬ人の腕の中。
 それならば以前から狙っていたものを、と思ったら、この年からフジゲンがフェンダー系のラインをチェンジ。
 しかしそれが功を奏して、型落ち扱いで格安になっていたこの子を見つけることができたのです。
 木工に関しては全幅の信頼の置けるフジゲン製。さらにポットはCTS、ジャックはスイッチクラフト、コンデンサは
 オレンジドロップが標準。ピックアップはダンカンのSSL-1というド定番が載っているので、とりあえずは弾き込むだけ。
 「キュウちゃん」の意味はサンバーストのカラーにもかかわらず、ボディに佇む「節」を取り囲む渦巻きの木目が
 「ウルトラQ」のタイトルバックを思い起こさせる上に、「9×9=81本目」という意味もあります。
 今まで手にしたフジゲン家の出身に違わず素直な良い子で、弾いた分だけどんどん響きが良くなってきています。
 数ヶ月後にピックアックをリンディの「Tall G」というセットに載せ替えたら、これが大当たりでした。
 シングルではハリのあるトーンで歌い、ハーフトーンでは絶妙な味を出してくれます。
 これだけの数のギターを手にしてきたのに、ローズ指板でサンバーストのストラトって初めてなのです。
 とうとう手にした王道のギター。 ・・・ってことは「My Last Lovers」なのか??

 もちろん、案の定、当然のごとく、(笑) その後も「出会い」と「別れ」があり、その「別れ」のリストにこの子も載りましたが
 手元を離れることはありませんでした。 そしてある日のこと、ふとした気まぐれでトレモロユニットのスプリングを
 RAW VINTAGEというものに取り替えてみたらこの子が豹変しました。柔らか目のスプリングなのですが弱いのではなく、
 しなやかなんですね。フローティング状態にしてもしっかり弦の鳴りをボディに伝えてくれて、トレモロの精度も格段に上がった。
 しかしスプリングの共鳴が減ってしまって、天然リバーブ音は消えたけれども生音は大きくなった気がします。
 結果、これ以上のストラトを持ったことがないと思わせてくれるくらいの子になりました。

 おそらく「My Last Stratocaster」になるかもしれません。(言い切ってないのが自分でもコワイ・・。)

File82.ヤマハ AC3M VS (ヤマさん)
 バンドでアコーステックライブをやることになりました。File12のKちゃんにはLRバグスのピックアップをつけてあるのですが、
 ライブで使うにはハウリングなどへ咄嗟の対応が手元でできないと厳しく、なにか良いものはないかと探していた時に
 中古で出ていたこの子をネットで見つけたのです。ギター、しかもアコースティックを試奏もせずに買うというのは
 今まで経験がなく、非常にためらわれましたが、ダメな時はライブ後にすぐにお嫁に出せばいいかという判断で「ポチッとな」。
 届いたこの子とご対面したら、キズなども想定内の上、前のオーナーが程よく弾き込んでくれていたようで鳴りもまずまずでした。
 ピックアップシステムが非常によくできていて、これならどんな会場でも適応できそうです。
 ホッと一安心でしたが、ただそこは大手メーカーの量産もの。使いやすくするために手を加えるのがワタシの信条であります。
 トラスロッドを若干の逆反りに調整して、弦の振動に大きく影響の出るブリッジとナットを好みの状態までヤスリでショリショリと。
 納得のいく調整が終わって、いまだに苦手な「F」を鳴らしたらジョワワーンと実に良い響きで鳴ってくれました。

 しかし!! この子を初めて連れていった練習の後、バンドが突然空中分解し、当然のことながらそのライブもパーに。 
 たった一回のお試しで、ライブデビューはおろか、これからの活躍の場すらも一度になくした不憫なこの子でありました。
 その数週間後、仕方なく新しい「縁談」を探してやるべく、行きつけの楽器屋に持って行ったのですが、
 なんと店頭に出た翌日に見初められてお嫁に行ったようです。よぉし!幸せになれよぉ!
 
File83.フジゲン Masterfield MSA-SP/OB (ハニ丸くん)
 とにかく厳しい一年だった2015年の暮れ。 よく頑張った自分に何かご褒美を、とネットをハイカイしていたら、
 かねてから頭にあったP-90を載せたフジゲンのセミアコが尾道のお店にお手頃価格で佇んでいるのを見つけました。
 思わず問い合わせをしてみると、店のオーナーが非常に丁寧な御方で、注文即決! 年の暮れギリギリに我が家に到着し、
 ドキドキしながらケースを開けた瞬間にこの目に飛び込んできたハニーバーストの艶姿から「ハニ丸くん」と命名しました。
 手に入れた当初は控えめな音の渋めのギターという印象でしたが、その後に弦高、ブリッジ、ピックアップの固定方法など
 自分なりにあれこれと徹底的にチェックし、試行錯誤の手直しを繰り返してみたら、抜群に歌ってくれる子に変貌しました。
 そしてその後、弾き込んでいくにつれて、さらに鳴りが良くなり続けていきました。

 うちの子になって半年後。友人のブルースバンドの解散ライブのトラでこの子と一緒にスタジオに入ったのですが、
 練習終わりの打ち上げの席で、いつの間にか解散ライブではなく、新生発足ライブの話となり、
 さらにそのライブ自体も、居合わせた面識のないお客さんたちを巻き込み、めちゃくちゃに盛り上がったのは
 この子の持つ、並々ならぬブルースパワーのおかげかもしれません。

 しかしそれから一年ほどして、形を変えながらも存続していたそのバンドもあえなく解散。
 その後に続くバンド活動での音の需要からだんだん離れていってしまったので、涙の卒業となりました。
 でも引き取ってくれた人からは「このギター、ずいぶん大事にしてたんですね」と言われて少し救われました。

File84.フジゲン Masterfield MSA-HP-C/BK (ビビ丸くん)
 「ハニ丸くん」を手に入れて10ヶ月が経った頃、セミアコの奏でる音の幅広さに改めて感心していたら、
 次第にハムバッカーの載った「王道のセミアコ」が気になりだしました。
 でも今更ながら定番の「ギブソン335」というのも何か悔しい気がする(?)
 ならばとフジゲンで探してみたら、なんとゴージャスな仕様のES-355タイプのものがあることを発見し、
 当時、代官山にあった直営ショップまで行って連れて帰ってきたのが、この子であります。

 重量感のあるルックスをしてはいますが、なんと重さは2.9kg。まさにフェザーウェイト。
 「ハニ丸くん」より200g軽いだけですがそれ以上に軽く感じます。
 あまりの軽さに若干ヘッド落ちをしますが、そのヘッドすら軽いので気にならない。
 さらにハニ丸くんがローズ指板なのに対してこの子は硬いエボニー指板なので、P-90に比べて
 厚みのあるハムバッカーでもはっきりした輪郭を持った音が出る。しかもセミアコなので奥行きもある。
 クリーンでも、多少歪ませても、まさに弾いたままの「声」で歌ってくれます。
 それだけに、きちんと弾かないといい加減な音しか出ないという怖さも持っています。
 その代わりに思い切って力任せに弾くと「グワラキン!!」とすごい音が出たりしさえします。

 さて、このギター。漆黒のボディでヘッドからボディにかけてぐるりと白いバインディングが走っています。
 そのルックスはギブソンES-355というより、ズバリBBキング御大の相棒「ルシール」を思い起こさせます。
 偶然にも、この子を手に入れた9月16日は御大の91回目のお誕生日でもありました。
 ですのでこの子の名前は「ビビ丸(BBマル)くん」なのであります。

 ブルースバンドに在籍していた時には何度か使ったのですが、バンド活動が停滞しはじめてからは
 手にする機会がもっとも低い子になってしまい、とうとう手放す気になって買取査定をしてもらったら
 ネックに大きな問題があることが判明し、ジャンク扱いの悲しい別れとなってしまいました。
 きちんと弾いてやらなかったワタシは御大にきついお灸をすえられたに違いありません。

File85.CoolZ ZLC-1 (ラビちゃん)
 ある休日の朝、朝食を済ませて一息ついていたら、急に少し離れた街のハー○オフが頭に浮かびました。
 これはもしかすると、そこで「誰か」がワタシを呼んでいるのかもしれない。
 おっとり刀で駆けつけてみると、重厚な雰囲気の黒のレスポールカスタムモデルながら
 目立たない場所に置かれて、本当に寂しそうに佇んでいるこの子がいたのです。
 長い間店頭に置かれて、ホコリだらけだったものの、目立った傷もメンテで解消できないトラブルもなさそう。
 なによりワタシが全幅の信頼を置く、フジゲン家の子です。氏素性は問題ないはず。
 さらにお店の兄ちゃんとの「心温まる」やり取りで、なんと「諭吉さん二人半」のおネダンでウチの子になりました。
 
 ポッド一式をCTSに、コンデンサをオレンジドロップに、スイッチとジャックをスイッチクラフトに取り替え、
 緩みのあったグローバーのペグをゴトーのマグナムロックに、そして最後に残ったのがピックアップ。
 御用達のリンディも考えたのですが、ここは一番、「バリバリのギター」を目指して、王道である
 ギブソンのバーストバッカー1と2のコンビネーションを選んでみました。
 出来上がったその子を「ラビちゃん」と命名しました。「ブックューティー」のラビちゃんです。
 準備完了の数日後、さっそくバンドの練習に連れて行ったのですが、これが、まあ、すごかった。
 バキバキ、ゴリゴリの音で歌う上に、実に気持ちのよいサスティンまで聞かせてくれました。
 なにより右手で弾いた弦の響きが左手から脳天まで突き抜けてきます。まさに「なんじゃあ!こりゃあ!!」です。
 
 思えば最初のエレキギターがFile3のフジゲン製のグレコのレスポールでした。
 そういう意味では「数々の修行を終えて、原点に帰った」のかもしれませんね。

 しかしこのラビちゃん、音は素晴らしかったのですが、大きな問題が一つ。
 その重さが4kgを越えていたのです。レスポールモデルですから当然のことで、
 逆にそれくらいの重さがないと良い音が出ないのですが、
 スタジオに持っていくだけで肩が凝ってしまうというのは、ちょっと・・・。
 このままでは埋もれてしまう確率が高くなるということで、次に登場する子に後を任せて、
 早々に、新しい出会いの場所へと旅立たせたのでした。

File86.CoolZ ZSG-1 (スージーちゃん)
 それはある夏の暑い日。世間はお盆休みの真っ最中。 それでも仕事で新宿あたりを外回りしていた昼さがりのことでした。
 世間は休みなので急ぐ必要もなく、ちょっと寄り道をと思いたち、 涼みがてら、ワタシにとっては鬼門でも天国でもある
 大久保の某T楽器に立ち寄りました。

 涼しくも、うっかりすると熱くなりそうな(?)店内を一巡りして帰ろうとしたまさにその時です。
 ドアの近くにこの子がひっそりと佇んでいたのです。

 今まで本当にあまたのギターを使ってまいりましたが、SGモデルはFile30のグレコの白い子だけ。
 珍しさに思わず手に取ってみたら、まあ、軽いこと、軽いこと。おそらく3kgジャストくらいしかない。
 齢六十を前にして、ここ最近の最重要チェックポイントを楽々とクリアした嬉しさに早速試奏させてもらったら、
 マホガニーのSGならではの、あの軽すぎず重すぎずの独特の音が飛び出してきました。
 しかし本家ギブソンも同じく、SGモデルはネックが弱いのが普通です。 でもこの子はそれを感じさせません。
 ブランド名はCoolZですが、生まれはもちろんご贔屓のフジゲン。やっぱり木工部分のクオリティは抜群です。
 さてさてお値段はと見ると、なんと諭吉さん3人じゃないですか!。 ということでお持ち帰りを即決と相成りました。
 店を出た瞬間に数ヶ月前に前項のラビちゃんをお持ち帰りしたばかりだった ことに気が付きましたが、
 仕方ないです、出会っちゃったんだから。  (と無理な言い訳をしてみる。)

 帰宅後、あちこちをチェックしてみると、ラビちゃん同様に電気系統をがヨワヨワなので、そっくり入れ替え。
 ピックアップはラビちゃんと同じバーストバッカーの1&2セットを載せたのですが、 出音は確実に違います。
 ラビちゃんはドンシャリですがこの子はミッドが強め。 さらにはボディの薄さから、独特の切れ味の良さも持っています。
 全身マホガニーのこれぞSGにしか出せない音で鳴いてくれました。

 さて、ひと仕切りの迎え入れ作業が終わったところで、今度は名前です。
 最初は「エス爺さん」と思ったのですが、どうもそういう顔をしていない。もっと元気のいい名前がいいみたい。
 そこで思いついたのが本名のSGに語呂の近い「スージーちゃん」という名前でした。
 翌日、すぐにバンドのリハに連れて行って弾き倒してみると、若干の硬さはあるものの、取り回しの良さは抜群。
 その後のライブやセッションにも大活躍しましたが、面白いのはこの子を見せた時の皆様の反応。
 ほとんどの人が「SGとは珍しいですねえ!」と顔を綻ばせ、初対面でもコミュニケーション成立なのでした。

 お気に入りの一本でしたが、ちょっとした気の迷いから旅立つことになりました。
 査定してくれた楽器屋のお兄ちゃんは最初、ブランド名を見て「これはあまりいい金額が出せませんが・・」と
 困惑気味でしたが、査定後に「どうだった?」と聞いてみると「すごいギターですね!」と興奮気味。
 ニコニコしながらこちらが思っていた金額を遥かに上回る数字を出してくれました。
 みんなを笑顔にしてくれたスージーちゃん。次のオーナーにも可愛がってもらえるといいなあ。

File 87.Fender Made in Japan Traditional 50S Stratocaster (ハナちゃん)
 その頃、いろいろと厳しい状況にあり、気分転換にと逃げ込んだのが横浜のイ○バシ。
 
 店内をふらふらとうろついていたら、妙に強い気配を感じたのです。
 はっとして振り返った先の中古のコーナーにこの子が佇んでいました。

 メイプル指板にブロンドのボディ。モデルとしては低価格ラインではありますが、
 まさに「これぞフェンダーのエレキギター!」というルックスです。
 手持ちのギターはローズかエボニー指板のものばかりで、メイプルのパキッ!とした音に
 飢えていたことにも心動かされ、ちょっとだけお試しさせてもらうことにしました。
 メイプル指板は滑りやすく、、ワタシのようにチョーキングやビブラートを多用する
 弾き手はしっかり弦を押さえることができず、どちらかというと得意ではありません。
 しかし、お兄ちゃんにセットしてもらって受け取った時、「おおっ?」と思いました。
 ネックが太いのです。正確に言うと分厚い。ネックの断面がアルファベットのDの形をしています。
 多くのギターはCの形で、たまに∨もありますが、Dはなかなか珍しいのです。
 ワタシは手が大きいので、この形だとしっかり握れて指板表面のツルツルが気にならない。
 しばらく弾いていたのですが、生音に比べてアンプから出てくる音がなんとなくボンヤリしている。
 「これは・・・・」と思い、しばし考えた結果、お持ち帰りすることにしました。

 持ち帰ってさっそく蓋を開けてみると案の定の「ヘボヘボっぷり」です。
 とりあえず全部取り外し、まずはピックアップにFile81の「キュウちゃん」に付いていた
 ダンカンのSSLセットへ、そしてさらにすべての電装パーツをストックしてあったものに置き換え、
 それらをベルデンのケーブルで繋ぐ作業に小一時間。最後に弦を張り替え、ネックとトレモロの調整を。
 一息ついたあとにおもむろにアンプに通してみたらシビレました。

 「これですがな!」(何故に関西弁?)

 さて、めでたく我が家の一員になったこの子のお名前は「ハナちゃん」でありました。
 なぜ?と思われた方、このFile名をご参照ください。だからハナ(87)ちゃんなのです。

 何度かスタジオでそのパキッ!とした音で活躍してくれましたが、やっぱり渋めのトーンは苦手な上、
 トレブル寄りの音ゆえにノイズにちょっと敏感すぎて、致し方なく旅立たせることにしました。

 しかし引き取ってくれるお店で査定を受けてみると「音が出ません」との報告が・・・。
 出かける前にチェックした時は大丈夫だったのに、それゆえに査定額はジャンクとしてのそれ。
 それはいくらなんでもかわいそうと、ひとまず持ち帰って調べたら、なんとケーブルが一箇所はずれてました。
 きちんとハンダを付け直し、さらにすべてのチェックをもう一度やって再査定に望みました。
 結果、「完璧です!いいギターですね!!」のひとことでことなきを得ましたが、帰り道に思いました。

 もしかするとハナちゃん、我が家を離れたくなかったのかな・・・・・?(T.T)

File88.Cool-Z ZLJ-1 Yellow (キスケ)
 いろいろあった2018年。 なんとか12月の誕生日ちかくまで漕ぎ着けて、ホッと一息。
 ちょうど60歳の還暦を迎えることだし、ここは一番、なにか自分にプレゼントするか!

 なかば言い訳がましく、ネット上をウロウロしていたら石川県の中古屋さんのサイトでこの子を発見。
 P-90の載ったギターはFile83のハニマルくんがいますが、ソリッドのレスポールスペシャルモデルは
 以前から一度弾いてみたかった一本でありました。しかしバーブリッジにはいささか抵抗があり
 今ひとつ踏み切れなかったのですが、この子はバダスタイプのブリッジにサークルフレット仕様なので
 フジゲンの名前を信じて、思い切ってイってみたのでした。

 さて、「ポチ」してから数日、到着した箱をいそいそと開け、さっそくアンプに通してみて・・・・・「あれ?」。
 ジャキジャキしたソリッドな音を期待したのですが、歯切れもなく、今ひとつ音がボンヤリ。
 あれこれとチェックしてみると、ネック周り、ブリッジ周り、そしてもちろん電気系統も全部手直しが必要でした。

 載せ替えのピックアップはダンカンのSP90-1nとSp90-3bという若干「攻め気分」を選択。
 意気揚々と作業を始めたのですが、これがかなり苦戦。ピックアップの厚みがあってキャビティと合わない。
 本来はピックアップの下にスポンジが入っていて高さを調節できるのに、この子はその作業を省略できるように
 浅いキャビティに直にネジ止めされています。その分キャビティを削る手間も半分で済むし、どうも作りが良くないなあ。
 しかし今更あとへは引けず、結局ピックアップの緩衝材を抜き、カバーを切り取るという荒業でなんとかクリア。
 やれやれと一安心で、今度はブリッジ。バダスの欠点である傾きを解消する新兵器としてのフィクサーを導入。
 弦の響きにはなかなかの手応えは感じるものの、ブリッジ自体の精度が今ひとつなのか、オクターブが合わない。
 ううむ、これは困ったといろいろと方策を探したら、ゴトーから510UBという製品が出ているのを発見。
 結構存在感のあるブリッジなので、「ロックンロールマシン」レスポールスペシャルの雰囲気が壊れるのですが
 音程が合わないんじゃしょうがないと思い切って導入してみました。

 よおし、これでなんとか完成。名前は黄色いその姿とキモであるP(ピィ)-90から「キスケ」と命名。(おじゃる丸ですな)
 あとは弾き込んでバンドで使えるようにしよう!と、日夜せっせと弾いていたのでした。


 しかし・・・どうにもしっくりこない。調整して、弾いては調整しての繰り返し。


 数日後、ふと思いついてネックの状態をもう一度きちんと調べてみたら、あら大変。
 いわゆる「ハイ起き」気味な上に「ねじれ」もあるようです。ううむ、これはきちんとした設備がないと直せないぞ。
 ネットでギターを手に入れたのはこれで3本目。しかし今回は事前に状態を詳しく訊くことをしなかったのが敗因でした。
 しかしこの程度の不具合は神経質なワタシだから気になるところで、これくらい気にしないヒトもいるはず。
 それにギターとしては格段に良い状態に仕上がっているはずなので、新しいおウチで可愛がってもらえるかも。
 ということで一度もバンドで使うことなく、悲しさと申し訳なさをいっぱい背負ったままドナドナすることに・・・。
 その後、気になってその店のサイトを覗いたら、お店に出て、たった一週間で旅立っていきました。

File89:フジゲン NCLS10-AG (ゴンちゃん)
 その出会いは突然でした。

 ちょっとばかりハードな出張から帰ってきたその晩、一息つきながらネットを見ていて、
 横浜のイ○バシの中古サイトでこの子を見つけた時、心が鷲掴みにされました。
 王道のレスポール・スタンダードモデル。しかもゴールドトップ。

 「か、カッチョイイ!」

 前のオーナーによる改造点が多く本体にも傷が多いということで、かなり安価に値付けられています。
 思わず決済ボタンに手が伸びかけましたが、88のキスケの件もあり、やっぱり実物を見てから決めたい。
 店の場所は横浜駅前、翌日が土曜日でもあり、とりあえず翌日に賭けることにしました。
 もし今晩誰かが名乗りを上げればそういう運命だし、もしワタシを待っていたらそれもまた・・・です。

 さて翌朝。はやる気持ちを抑えて開店30分後に店に行くと、店頭にこの子は見当たりませんでした。

 そうかあ、と一旦は諦めかけましたが、ふと思い立って店のお兄ちゃんに聞いてみたところ
 そのお兄ちゃん、店の奥に引っ込んだか思うと、しばらくしてこの子を手に再び現れたのでした。

 シリアルからすると製造されて今年で9歳のギターです。その割にはパーツがずいぶんくたびれていて
 ブリッジも6弦側のメッキが剥がれています。しかし音の立ち上がりは鋭く、楽器全体の鳴りも良い。
 つまりは前のオーナーがかなり弾き込んでいたということなのでしょう。
 レスポールですから重さは4kgはありそうですが、全体のバランスが良いためにそれほど重い感じがしない。
 ということで、めでたく「お持ち帰り」と相なりました。

 改めてチェックしてみるとペグにGOTOHのマグナムロック、そしてテイルピースのポストはフィクサーが。
 これから載せようとしていたパーツがそこにあった!ということは前のオーナーも「同じ穴のムジナ」らしい。
 それだけで十分ではあったのですが、念の為に電装関連をお決まりのCTS、スイッチクラフト、オレンジドロップへ。
 さらに割れやヒビの入ったパーツを取り替えて、すべての作業を終えたところで恒例の命名。
 ゴールドトップですから、単純にいけばここは「金ちゃん」なのでしょうが、それではどうにも芸がない。
 金は金でもアンティーク調の重々しい金なので、まさに「黄金」と呼ぶにふさわしい色です。
 音もレスポールらしい「ゴンッ」とした音なので、ここは一番、「ゴンちゃん」に決定。

 しばらくは自宅で気分良く弾いていたのですが、なんとなく欲が出てピックアップをギブソンの57クラシックに換えてみたら
 サスティンも程よい上にイナタさも持ち合わせた、さらに「イイカンジのレスポール」に収まりました。
 
 しかしやっぱりレスポール。4kg超えの子を肩に下げてスタジオまで行き、さらに3時間近く弾いたあと、
 さらに家まで帰るという苦行は還暦過ぎの我が身にはやはり辛く、悔し涙の別れとなったのでありました。

File 90:COOL-Z ZJB-M1R 3TS

 またもや、やらかしました。

 よく晴れた秋の休日の朝、いつものように行き先も決めず自転車で家を出たのですが
 ふと、以前にFile85のラビちゃんと出会った隣町のハード○フが頭に浮かびました。
 「あれ?また呼ばれてる?」と思い、行ってみると案の定、いたのです、この子が。

 王道の3トーンサンバーストのジャズベース。ずっとプレベ派のワタシですが、
 スラップやハイフレットのオブリだとやっぱりジャズベの音にも時々心動かされる。
 オネダンも二諭吉さん一新渡戸さんだったので、とりあえず試奏させてもらうことに。
 しかしこういった店ではアンプは通電チェックが目的なので、ギター用しか置いていない。
 でも、高校時代はギターアンプにベースを突っ込むことなんて日常茶飯事だったから、まあいいかと。
 (ところがこれがあとになって大きな落とし穴になるのでした。)

 ネックが反り気味でしたが、トラスロッドの調整でなんとかなると判断したものの、
 もう少しオネダンがなんとかならないかな?と思い、ダメ元で声をかけたら 
 なんと!二諭吉さんで良いとのこと。じゃあ、しょうがあるめえ、と内心ホクホクでお会計。

 さて、家に帰ってベースアンプでひとまず音を出してみると、あれ?おかしいな?? 
 音にパンチがない。でも、まあ弦も古いし、もともとこのブランドは電装部に手を入れないと自分を納得させ、
 とりあえず、指板周りをざっと掃除をして、新しい弦に張り替える作業にかかりました。

 あれ?あれ? なんだこれは?? 弦が異様に余るぞ? あわててプレベの白雪さんと比べてみたら。
 なんだぁ、このベース、ミディアムスケールじゃないの!!ミディアムスケールのジャズベなんて聞いたことないっ!。
 ところが作ってたんですね、このCool-Zというブランドでは。さすがはフジゲン。(って感心してる場合かっ!)

 とほほほ・・・。きちんとベースアンプを使って音出しチェックをすれば気がついたのかもしれません。
 仕方ない、まあ、いいか。 じゃあ、ネックの調整をして・・・

 あれ? なんだこれ?? 弦が変な感じにビビるぞ? あわててネックエンドから指板をチェックして見ると・・・

 あ!ハイ起きしている上にフレットが波打ってるじゃあないの!!
 店頭ではネックの全体の反りに気を取られて、そこまでチェックしなかったのでした。なんたる不覚・・・。
 でも、ここハード○フではこの程度ではジャンク扱いにはなりません。だからオネダンもそれなりだったのでしょう。
 それを覚悟の「お宝発掘の旅」だとわかっていたのに・・・。 地雷を踏みました。完敗です。

 指板の波打ちをきちんと補正することは自分ではできないので、泣く泣くお別れすることにしました。
 もう一度きれいに磨き上げて、弦も張り替えできる限りの調整をして、翌日にドナドナ。
 名前をつけてやることもなく、別れたあとには諭吉さんと新渡戸さんが一人づつ。

 ええ〜ん、何やってんだ、オレ。


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